五月来る森の中なる神学部  涼野海音

森の中にある神学部なら、信じてもいいような気がする。

木々をわたる風を聞き、葉をかすめる日差しに目を細めながら、神について考える時間は、素直に、尊いと思える。
神学部だからまだみんな学生、森のように深い悩みを、各々抱きながらの日々だろう。

「五月来る森」、その「森の中なる神学部」。言葉がゆるやかに、神学部へフォーカスされてゆく。

「俳句」(角川書店)2017年7月号「若手俳人競詠10句」より。