芹茹でて億光年を結ぶ星  藤田かをる

ざくざく切って湯に放つ清新な芹の香が、キッチンの光と宇宙の闇とを、タイムワープのように結び付ける。「結ぶ星」とはきっと星座のこと。私たちは、あれはオリオン、あれはさそり、と指さしながら、億光年という超越した距離を結んでいるのだ。すごくはるかから旅をして帰ってきたような、そんな気分で芹を茹でている。

「舞」平成29年夏季特別号より。