「果てしなき涼しさ」だけでもはるばると無なのに、それを「夢」としてもっと遥かにし、さらに「も」として、この夢の他にも無限に広がる世界の可能性を示唆した。
手塚治虫『火の鳥 未来編』では、命が絶滅した地球に一人取り残された不死身の主人公が、次の生命が誕生するまで気の遠くなるような年月を過ごし続けるが、彼がその遥かな旅路の果てに呟きそうな一句。すべては終わってしまったこと、という、ゼロ地点から過去を振り返っている気分は、芭蕉の「夏草や兵どもが夢のあと」の句とも通底する。
第一句集『ウルトラ』(沖積舎、1998)より。