ふらここは思ひ出す場所星見る場所  蓜島啓介

ぶらんこに座っているときの、あの遠くを見る感じ。時間の遠さが「思ひ出す」に、空間の遠さが「星見る」に、それぞれ象徴されている。子どもにとってぶらんこは単なる遊具だが、大人にとっては、これまでの人生を振り返り、これからの行く先を考え直す場所なのかもしれない。対句仕立てに情があふれる。

「鷹」2017年8月号、20句作品より。