木をつみて夜の明やすき小窓かな  正岡子規

茂っていた木の枝を摘んだので、風通しがよくなった分、日ざしも窓に入りやすくなった。だから、部屋の中にいても、朝のあかるさが前にもまして感じられ、ただでさえ明け易い夏の夜が、さらに明け易く感じるのだ。「小窓かな」というまとめ方が、さっぱりとしていて、清潔だ。

『子規全集 第一巻 俳句一』(講談社 昭和50年)より。明治18年、子規が俳句を作り始めたばかりのころの句。このとき子規は17歳、俳句甲子園の高校生たちと同じ年齢だった。