水玉のくるりと伝ひさくらんぼ  深見けん二

さくらんぼの小さな丸みを、さらに小さな水玉が伝って滴り落ちる。みずみずしさが眩しい。
キュートなのは「水玉」「さくらんぼ」という語彙、そしてミクロな視野。「かわいい~」というとき、その対象以外が目に入っていないように、この句のさくらんぼは、視野を(脳内を)独占する。
なにせ「くるりと伝ひ」の的確さ(巧さ)よ。

「ふらんす堂通信153」競詠七句より。