ちぢれゆく女の髪や法師蝉 三橋鷹女

髪というのはこうも老化するものかと、白髪ではなく指通りで実感する。それは、毎日娘の髪を編み込みながらも思う。強くコシのある娘の髪は編んでも少し油断するとすぐさらさらと解け元のストレートになる。それに比べ私の髪は、すぐに癖がつく。昔はこうだったのになぁと寂しくはないが歳をとったなと実感するのだ。句集『白骨』は鷹女が50手前の句群で、戦争が終わり一人息子が手元に戻ることから、鷹女が自身に改めて目を向けたのだろうなという句が多い。

『三橋鷹女全句集』(昭和51年3月 金羊社)より。