香水や土星にうすき氷の輪  津川絵理子

香水と土星の出会いに驚く。目をつぶれば、土星の輪が見えてくるような香り。香水をまとうときの、あの装う感じは、微熱っぽくもあるし、心が少し冷えている感じもする。土星という遠い「氷」の冷たさが、その微細な温度感覚を、ふっと思い出させる。まーとにかく素敵な句である。

「俳句あるふぁ」2017年12月・1月号(毎日新聞出版)より。創刊25周年記念特別号。