メロン一つ手向けられたり流れ星  阿波野青畝

流れ星、かあ。すごいなあ。
メロンのごろっとした重さが流れ星の石としての質量を、うすいみどりがその光を、淡淡と想起させる。
やっぱり、素直に、悼む祈りの気持ちもあるのだろうけど、「手向けられたり」と受動態にして、メロンを主語にしたことで、人間がいない、メロンと夜と流れ星だけの静かな句となった。

「俳句あるふぁ」2017年12月・1月号(毎日新聞出版)創刊25周年記念特別号掲載の、1992年冬号創刊号記事より。