握手の手つめたよと握られており  池田澄子

この「つめたよ」の「よ」の異質さ。「つめたし」でも「つめたいよ」でもなく「つめたよ」。なんだか舌足らずだけど、でも、だからこそ、一回性のぬくもりが宿っている。えっ、手冷たいよ、大丈夫?と握ってくれている(握られているほうは喜んでいるとはかぎらない)、握手したときに折々ある出来事を、体温とともにひんやりと俳句に書き起こした。

「ふらんす堂通信」154号(2017年10月)、競詠7句より。