ラムネから噴き出している 時間、とか  佐藤廉

富澤赤黄男「草二本だけ生えてゐる 時閒」を彷彿とさせるが、廉の句には、若いみずみずしさがほとばしる。ラムネという素材や「噴き出している」の勢いはもちろんだが、何より、「、とか」がみずみずしい。おずおずと、あいまいに、しかし譲らない気持ちで、時間という概念を差し出している。「、とか」はきっと「たとえば、時間、とか」というためらいの意味だけじゃない。本当に、時間だけじゃない何かも噴き出している感じがする。時間という概念のまわりにきらきらと輝いている、プラスアルファーの気配。

ラムネが噴き出す勢いで過ぎてゆく一瞬一瞬を、私たちは生きているのだ。その時間の流れが、青春のひととき、ラムネによって可視化された。

東北若手俳人集「むじな」(2017年11月)より。