照らされし順に立つべし稲光  高野ムツオ

稲光に照らされた順に、立たなければいけないルールは、ちょっと不条理だ。そんなこといわれても、と思うけど、でも、「照らされた順に立つべし!」という言葉には、うむをいわさぬ迫力があって、おそらくわたしも、したがってしまう。稲光に照らされる順番に、たぶん法則はない。ひとが死ぬ順番に、法則がないように。

「俳壇」(本阿弥書店)2011年12月号、「一羽」より。