スピカとは、江渡華子・神野紗希・野口る理が企画・編集する俳句ウェブマガジンです。作品連載「つくる」や、一句鑑賞「よむ」など、俳句にまつわるさまざまな記事を、毎日更新しています。俳句を読むという行為の楽しさや底知れなさを、実践し共有できる場となりますように。
スピカ創刊のことば
俳句を作るとき、私はどこかで、この句を読んでくれる人がいる、
ということを信じています。
それは、とても遠くの、私が死んだあとのことでもかまいません。
私があの人やこの人の句を読んだように、
誰かが私の句を読んでくれるということを、信じて書いているのです。
届く保証なんて、どこにもないのに、不思議です。
そう信じているのも、私自身、俳句を読むのが好きだからかもしれません。
大好きな句集を開いているとき、私というものはすっかりなくなって、
作者が見た世界の中を、その人になって生きているような気がします。
だから今回、同じように、読むことが好きな仲間たちで、
俳句を読み、語りあう場所を作りました。
どんな古典も、どんな新しい潮流も、全ては読む作業から始まりました。
そして、世界では、日々、新しい俳句が作られています。
投げかけられるばかりの言葉を、私たちの手に抱えられる範囲で、
ひとつずつ、拾って読んでいきたいと思います。
このサイトを通して、一句でも好きな句を見つけてもらえれば、
こんなに嬉しいことはありません。
スピカは、星の名前です。春の夜に、青白く輝く一等星です。
260光年を経て、なお色あせず私たちの地球に届くスピカの光のように、
時をこえる俳句の力を信じて、読み、かつ書いていきたいと思います。