二百回すごいよ、岸本水府も

いやー、「きりんのへや」なんと二百回目です。とうとうきました、やればやれるもんだなぁ。

二百回中二百回、全て携帯電話で書きました、というか打ちました。最初は携帯電話、次はスマートフォン、最近はiPhoneで。パソコンはまだまだ買いません。筆と携帯で何万文字でも書けるはず、多分。

最初はホントに五人ぐらいしか読んでないんじゃないかなと思いつつ書いてましたが、「結婚したわりによく遊んでるね」とか言われる事が多いので、思ったよりも読んでいただけてるのかもしれません。いやー、ほんとにありがとうございます。

本文と同じぐらいマクラに力を入れているため、僕の周りの面白い人達をしょっちゅう登場させてきました。えーと全部無許可で登場させてきました。

ごめんなさい、村上さんに敦子さんや相子さん、あと越智くんとか、これからも勝手に登場させますが、どうか怒らないでください。

この前、村上さんから電話があって「あることない事書きやがって、ふふふ、結構うまく書けてるなと思いましたよ」と仰ってました、多分覚えてないと思いますが。あ、あと鰻食べさせてあげると仰ってたので、食べさせてください。覚えてないと思いますので書いておきます。

さて、本題に近づいていこうかな、実は僕がスピカなり週刊俳句に書かせてもらう動機の一つが、「読みたいものがないから作る」というものです。梓月とか瓜人とか、スピカで書かせてもらったやつなら京童や零とか最近の秋津とか。サクッと読める本が実在しないから自分で作れば良いや、ってのが動機の一つです。今回のスペシャルもそう。

柳人の中の柳人、岸本水府の百句ってのをやります。俳句やってる人に虚子を知らない人が居ないのと同様に、岸本水府を知らない柳人はまぁ居ないでしょう。

『川柳の群像』という素晴らしい本がありますが、解説が多く、扱う作家の数も百人もいますのでページ数足りず例句が少ないように思います。『川柳全集』のシリーズはとても価値ある本ですが、なかなか手に入らない。『現代の俳句』『現代の短歌』があるのだから、ぜひ『現代の川柳』のようは本が出て、そこにそれぞれ百句ぐらいづつ載っていれば良いのになぁと思います。

が、そんな事言ってても仕方ないので、僕が好きな百句ですが、水府さん、読んでいきましょう。何冊か読めるだけは資料を読みましたが、代表句かどうかは関係なく、好きな句のみをいれました。

恋せよと薄桃いろの花が咲く

しなさい

ものおもひお七は白い手を重ね

ひんやり、そしてやわらか

孔雀おもふにこれは自分の尾ではない

んな事はない

千日前肩を叩くと連れになり

毎日毎日同じ話をしていても、友達ってのは良いもんです。

売られたは三味線に手のとどく頃

立派におなりになりました

口紅をすぼめて嘘をいつたあと

男は愚かな方が可愛いもんです

友だちはよいものと知る戎ばし

よぉ、やぁ~ってなもんよ

頬かむりの中に日本一の顔

日本一頬かむりが似合う、とかいう句ではない。

汚れてはゐるが自分の枕なり

涎が、とかいう句ではない

大阪にすむうれしさの絵看板

こてこてでよろし楽しい大阪

買物に芒をぬけて奈良の町

気持ちが良いのが奈良の町、この句は涼しくて好き。

ことさらに雪は女の髪へ来る

黒くて細い髪がよけれ

酔はされて仇を討つてくれといふ

まかせとけってのが男の友情です。

友達の医者は飲んでもよいといふ

駄目だけどね、いいよ。

旅でみる酒といふ字の憎からず

むしろ大好きでござる

十九からはたちへ女年をとり

僕はもうじき三十、結構楽しみです。

黒髪に櫛の黄いろいいい日本

いい日本ってな文化はやっぱりいいんじゃなかろうか

洗濯をしてゐる川が名所なり

はー、へー、ここが。

やぐら太鼓江戸おもしろくなつてくる

好きになってきた、ノッてきた。

鈴をならべる一つづつ鈴の音

それはそう、って句ではない。これは結構好きな句、多分小ぶりで可愛い鈴。

餅箱にまだあるやうなあとがつき

ないけどね

持つて行けといはれ青年数珠をもち

いらないけどね、言えないしね。

熊野灘鯨が見える母の背

母も鯨も誇らしいなり

鬼になつて泣いて帰りし弱かりし

優しいのが大切よ

子を生んだ路地の女のよごれた眼

みんな色々あるし、どこも色々ある。

思い出せぬゆうべきいたるみだら唄

「なんだっけ、あのみだら唄」

面会は賭博の見張りをした女

キッとした人も好きです

きれてからちと用のある恐ろしさ

あんなに愛しあったじゃないか的な泥沼劇へ•••。

夜逃げする畳の上を下駄で踏み

あぁ畜生、あぁ情けねぇ

手伝つて形のちがう握り飯

塩と愛情と酒をくれい

聞き流すつもりで三味を膝に取り

ドラマだと、俺と一緒にならないか的な場面かしらん

道頓堀の雨に別れて以来なり

はい、出ました有名句です。この句がそのままタイトルになった素晴らしい小説がありますので、ぜひ読んでみてください。この句、カッコいいなぁ、川柳の魅力の一つが味であるなら、この句なんかが王様と言えるような気がします。

大阪はよいところなり橋の雨

これも大好きな川柳です、さっぱりとした句なのに大阪に行きたくなります。

八階で失職をした町を見る

哀しみが人を強くするのです

吹く風は女を待たす寒さなり

待っててもらえる男になりたいわ

泣いているうしろ通ればあけてくれ

ちょいとごめんよ

まだ喫える吸殻を見る紹介所

駄目な感じ、というのがあります、これ今駄目な感じ。

富士山の見える学校うらやまし

ほんと

十二時を指して時計のいい覚悟

すっきり

何もかも紙屑にした二十四五

僕も五年も過ぎたのか、二十四五

寝たら牛になるならそれもよしと寝る

それよし

いくつかの不思議を持つて幼稚園

まづは、園児がいっぱいなのが不思議

渡米したそうな帰つているそうな

おでん屋での噂

貸ゆかた離婚間近き二人なり

人間はどうしょうもなくダメなもんはダメ、残酷ですが。

大阪を故郷を持つて淋しかろ

これ好きです。東京に来ている全ての大阪の人に教えてあげたい川柳。

ハッタリの店の最後のベニヤ板

図太くあれ

真剣な見送り服に下駄はいて

わざわざすまんことです。

ひるめしという面倒な孤独感

あぁわかる、でもたまには良いかなと

今日は来ないうそつきだつた紙芝居

子どもは傷つくんだぞ

大正はあわれ愛して頂戴ね

昭和も平成もまた愛してね

昔のれんで涙をふいたド根性

負けへんで

社長室来るなといつた女来る

来るなと行ったら来ない、携帯は見ない、ま、そうはいきません。

許すというそのひとことが別れなり

言葉は少なく重く

アイロンの通路の狭い金ボタン

アイロン「狭っ」

山茶花をのばしたようなふぐの皿

あー、すごくよくわかる!好きな句です。

法善寺持つて逃げられそうな下駄

だめ

女湯に桶が転げて子持なり

ちぇっと残念に思うぐらいいいじゃない

三味線を逆さに持つて稼ぎに出

これ大好きな川柳。というか、こういう人が好きです。

いい女小指縮めて筆を持ち

薄幸な感じの人がタイプです。

帰りたいから相槌をうつておき

よくあるよくある

春は汽車に乗つてうれしい紙コップ

るんるんだぜ。これも好きな句。

ことしはいいぞと大盃をぐつとほす

グイッとな

手伝いもせず鋸の下手を見る

手伝ってよう

鼻血の子教師が見るといつもの子

また麒麟か!?

楽しかつたたらいに名前書いた頃

あの頃はあんな事まで楽しかったな、といつも思うんだろうなと。

友達は男に限る昼の酒

男飲み会もまた

新聞へ鋏は父の悪い癖

やめて、と言えないけどさ。

戦争は憎し石鹸なしの風呂

あぁ嫌

預けていない銀行のカレンダー

ちなみに麒麟家のカレンダーは井月カレンダーです。

新郎のヘタなかしわ手それもよし

優しいのが一番よ

イーをしてやりたい奴が大人にも

あいつもあいつも

転任のつづくに母の船ぎらい

きっと船を見るたびに思うんでしょうね

教室に母も来ている手をあげる

がんばれっ

髪の毛が出た飯母のせいにする

そして夜にはドロドロに後悔します。僕にも覚えがありものすごく後悔した事があります。髪の毛ぐらい食べましょう、愛です。

辞表出した訳が母にはわかりかね

理屈じゃない

虫めがね息子も孫もいる写真

あぁ幸せ

ええなええなと母耳よりなニュース聴く

幸せはええなええな

母の手を引けば皆見るやめてみる

男の子はこうやって大きくなっていきます

母の髷母の元気の一つなり

あぁ母様

はい、どうでしょうか、どれも見事な川柳ですね。俳句と川柳の違いなんて話題は、論ずればなんだかとてもつまらないような気がします。でも良い俳句があって良い川柳があります。何を良いとするかは読者によって変わってしまうんでしょうが、それでもやはりあります。

僕は僕の好みの俳句なり川柳なり短歌なりをこれからも紹介していくつもりです。

麒麟の辞書には好きと大好きだけあれば良いです。

ではこれからもご贔屓よろしくお願い致します。

じゃ、二百回目の

ばーい‼