「いつまでも」 野口る理

楸をくぐりてとほざけるさつき
鹿笛と書けば詩境の現るる
やや寒の函へつぶらなおまんぢゆう
落葉待つ川の光を諾へり
はつふゆのピクトグラムよ幾度死ぬ
忘れられゆくもの吊るし枯木かな
煉獄や果物めける毛糸玉
掌に爪立て凩を結ぶ
冴えてなほ炎となれる鬣よ
柊をかをらせていつまでもいま

〈『俳句 11月号』(KADOKAWA、2016)より再掲〉