冬灯し肌えはぬくき波さざなみ
心はいつも漣だっている。幸せでもなく不幸でもなく日々が過ぎてゆくときでさえ、心は漣だっている。取り立てて不幸ではない。取り立てて不遇でもない。そのことを以て幸せ、と言うと、なんか侘しいけど。
髪は時に冷える。心は冷えるだろうか。生きている肉は冷えない。皮膚は冷えても肉の温もりによってまた温まってくる。温かい皮膚に護られた肉の奥に心はあって。
取り立てて幸せと思う日。その日はきっと、それを失ったらどうしようと、不安と怖ろしさに心穏やかではないかもしれない。そんなこと思いながら、ふと気が付くと、頬杖をついている。掌に頬はさざなみ。