2012年6月25日

風の島スワンを抱いて眠りなさい

夏休みに入ったということは、春学期が終わったということだ。これはスウェーデンに来るまで全く知らなかったことなのだが、「エラスムス計画」というプログラムを使って留学しているヨーロッパ圏の学生は、たいていは半年で自分たちの国に帰ってしまう。1年間も滞在する交換留学生は日本人くらいではなかろうか。つまり、僕達日本人は、苦労して仲良くなった留学生の友達と別れなくてはならない。それを先に知っていたら半年の留学で良かったのではないかとさえ思う。孤独だ。

第一印象で、この人とはいい友達になれそうだ、という人はそんなにたくさんいない。しかし、ウクライナ人のゼトラは、初めて会った時に特別な縁を感じた。彼女はスピード狂で、「トヨタのデザインが好きなの。あなたはどう思う?」と聞かれて、僕が「いやそんなにかっこ良くないと思う」と応えると、次の瞬間には冗談交じりで指の銃を頭に突きつけられた。底無しに明るく、豪快に笑い、そして他人をそっと気遣える人だった。5月に、彼女と、他の友達2人とスウェーデンのゴットランド島に旅行に行ったことは、一生の思い出の一つだ。昔は刑務所だったホステルに泊まり、世界遺産となっている中世そのままの街を歩き、廃墟となった城・白鳥が泳ぐ透き通った海・そして緑溢れる森と丘を自転車で周った。日本におけるゴットランドの知名度はもっと高くなっていい。

6月はフェアウェル・パーティばかりしている。もうすぐスウェーデンを去るゼトラに向かって「もう泣きそうなんだけど」と言うと「じゃあこっちを向かなかったらいいわ。そしたら私が泣いてるかどうかもわからないでしょ」と言われた。彼女はフランス語も堪能で、元々住んでいたパリに戻るらしい。

僕には一つ、目標ができた。どんなに時間がかかってもいい、スウェーデンで会った友達とできるだけ再会したい。だから、大お金持ちになりたいだなんて思わないけれど、世界のあちこちに旅行できるだけのお金は稼げるようになりたい。行き先の一つは絶対にパリだろう。