穭田に父は鬣めきて老ゆ
改札のバタンッと鳴るあの扉のようなもの。ICカードをタッチしそびれると閉まってしまうアレ。切符を入れて、それがバンッと開く瞬間が心地よい。カードをピッとしてバンッ。どこかへ出掛ける時、改札でピッとしてバンッとしたときの街はいつもより煌めいて見える。この街を歩いていくんだ、なんて主人公じみた気分にさせてくれる。この気持ち、わかってくれるだろうか?
むかしテレビで、武豊が「改札の扉がひらくとき、なんだかゾクゾクしますね」なんてことを言っていた覚えがある。ファンファーレが終わった静寂、そしてゲートが開く。馬券を握るぼくらですら、一気に血が沸騰するような瞬間だ。自らの残像を塗り替えていく、そんな馬の迅さが白い夏野をかけ廻る。
東京シティ競馬なんかがCMを作ってはくれないだろうか。背広を来たサラリーマンがナイトレースへ向かう。東京モノレールの大井競馬場前駅の改札をピッとしてバンッ。そのときサラリーマンのこころは、馬の速度で煌めく競馬場へ迫っていくのだ。