2012年1月20日

低周波障害廊下に冷たく座し

森村誠一『神より借りた砂漠』は、初回で取り上げた佐野洋『檻の中の被害者』と同じく、講談社ノベルス創刊時の1冊。
殺人事件の謎に迫るうちに、超低周波による公害問題が出てくる。

低周波障害は、私も都内に下宿していた頃になったことがある。
近所のエアコンの室外機に由来するのか、鉄道関係の施設によるものか、聞こえるか聞こえないかの振動音の発生とともに内臓が何かにわしづかみにされ、押し潰され、胸が振動に強制的に合致させられて呼吸もろくに出来なくなる。
もともと健康とは縁遠いほうではあるが、あの苦しさ、情けなさは筆舌に尽くしがたい。
体が波長と同調しなければよいので、あちこちに所在をずらし、廊下に出てみたら治まった。
しかし真冬に廊下にいられるものではないので、部屋に戻ってみるとまたぶり返す。
結局振動が収まってくれるまで廊下でしのぐしかなかった。


*森村誠一『神より借りた砂漠』講談社ノベルス・1982年