2012年12月11日

蜘蛛の囲から恐竜が見えあなたが好き     SSTbot

SSTスクラップ「ミステリー」後編

O 「第3位は〈小鳥来て姉と名乗りぬ飼ひにけり〉でした。」

M 「〈Ω(をはり)からまたI(われ)を出す尺蠖よ〉は何位ですか。」

O 「7位ですね。」

M 「7位!低いなあ、もうちょっと上、いややっぱりベスト3に入ると思うんだけどなあ。」

S 「この辺からは好みなんじゃないですか。〈ΩからまたIを出す尺蠖よ〉は数学ミステリーものとしては最高峰ですし、2007年に3位だった〈からに入りて己とつるむかたつむり〉は乱歩的な狂気ミステリーとして今も評価は高いです。その続編の〈眠れぬゆゑもぐり入る箱の中は秋〉、〈寄居虫の総身見えてガラスの貝〉も20位以内に入っていて、このシリーズは安定した人気があります。ランクインした〈小鳥来て姉と名乗りぬ飼ひにけり〉は日本ホラー俳句大賞を受賞して一躍有名になったというのもあると思いますね。全体にそこはかとなく漂うエロスな雰囲気も人気の理由のひとつでしょう。」

M 「このベスト3と比べるとやや薄味と思われてしまいがちですが、〈白川村みな岩魚らの夢の中〉もわたしはかなり好きです。孤立した村での話で、社会性を強く帯びた作品でもありますが、それでいて暗くないんですよ。残酷描写や暴力描写、言葉を過激にすることが読者サービスであると思い込んでいる一部の作家にはこの作品から後味のいや味のなさというものをもっと学んで欲しい。」

S 「孤立村ものですと〈秋やこの将棋倒しの鳥居の赤〉も最近では上位に食い込んでくる作品ですよね。」

O 「ランキングには入ってきていませんが、最近の傾向としてはライトノベルのような作品も増えてきていますね。」

S 「〈焚火曰く「わしを誰だと思つてをる」〉あたりですか。」

M 「〈幾万の吾妹の声や雲の峰〉とかも入りますかねえ。でもやっぱり彼の魅力が本領発揮されるのはそちらではないと思うんですよね…わたしが新本格が好きなせいもありますが。」

O 「どちらも書けてしまうというのも魅力のひとつなんでしょうね。昔からのファンはどう思っているんでしょうか。」

S 「いや昔からそういう傾向はあったんだと思いますよ。僕はこの調子でミステリー俳句の枠を広げていって欲しいと思っています。もちろん、古き良き物を大切にしつつ。」

O 「では、ミステリー俳句編はこの辺で締めましょうか。次回は「関悦史SF俳句ベスト3」です。」