枯原に一本の杭愛うしなふ
「破綻をおそれず枠に収まろうとせず、いろいろ実験することを望んでおく」。私の「準賞」作に対して、藤田湘子はそのように評した。藤田湘子は私に変化することを求めている。冒険することを望んでいる。その期待に応えるにはどうするべきか。発表句を並べて無難に賞を取りにいくよりは、未発表句を十句並べて意欲的に取りに行った方が、藤田湘子は更に喜んでくれるのではないだろうか。そんな気持ちが、私の中に無駄な冒険心を起こさせてしまった。結果は、果たして私の惨敗であった。ほぼ手中に収め掛けていた「鷹新人賞」は、私の指の間をするりと抜け落ち、他の同志のもとへ渡ってしまった。それだけならばまだよかった。この時の私の応募作が、あろうことか藤田湘子の大不興を買う結果となってしまったのだった。私が意欲を見せたいと思って提出した応募作が、藤田湘子の目にはふざけている、権利を放棄していると映ってしまったらしい。これを契機に、私は藤田湘子の身辺から一気に遠ざけられてしまうこととなった。