永き夜の地震のときは見つめ合う 池田澄子

夜更かしをしている時に起きた地震に、パートナーと視線が合ったのだろう。見つめ合うということから、それは思ったよりも長めの地震だったことがわかる。私ならどうだろうかと想像したが、想像の地震の中では、パートナーは私ではなく揺れやすいものを不安げにみており、私は子等の眠る寝室に走っていた。お互いがお互いを真っ先に探す過去は過ぎ未来はまだ来ない。

句集『いつしか人に生まれて』(1993年 みくに書房)より。