2012年3月27日

サクラクラクラムラサキノケムリ無理

前略
 今日僕の目の前に立つのは、満開の桜。
 春というと、やはり、桜ということになるのでしょう。けれど僕は、桜がいちばんきれいなのは、ええと、きれいなのはというとちょっと語弊があるかもしれません、桜がいちばんいいのは、夏なんじゃないかと思っているんです。赤い実をつけた桜の若葉の時期。春の桜は言葉にまみれすぎていてニュートラルな美しさではない気がします。なにしろ桜の樹の下には屍体が埋まっている!のだし、春の風に舞う花びらは悪魔のふりして切り裂いた歌から変わったものであるわけで、世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからましきこと確実なのです。もしそうだったら、さまざまのこと思ひ出してつらくなるのも、すこしはマシになるだろうから。
 要は、春の桜について語られてきた言葉は、どれも美しくて魅力的だと思うのだけれど、肝心の桜の実態について、言葉の力に阻まれて、僕はそれほど美しくて魅力的に思えないということです。たとえ、花は咲くことのみ思っているのだとしても、いや、だからこそ、花の下にて春死ぬなんて、僕は死んでもごめんこうむりたい。
 それじゃ、また明日。

草々

3月27日

“桜 サクラ sakura 全国のお花見名所100選”より
福田若之