三月の波がふれあうときを聴く
前略
旅をしている途中で、旅の人と出会うというのも、よくあることですね。今日、出会ったのは、車で旅をしている人でした。数年前に北海道へ行ったことがあるそうで、そのときの写真をみせてもらいました。やっぱり『幸福の黄色いハンカチ』みたいな自然がひろがっていて、人間が少しくらい技術を発展させたくらいでは、そう簡単に景色は変わってしまいはしないんだと思い、なんだかほっとした次第です。
けれど、一方で、自然の一撃が景色を大きく変えてしまうことがあるということも、思わずにはいられません。海面はもう、もとの顔をしてひねもすのたりのたりかもしれないけれど、陸はまだ、これからきっと。そういった意味での現実からは遠いこの世界で、こうして旅を続けることに意味なんてないかもしれないけれど、これがいま、僕と現実との距離なんだと感じながら、この距離について語ることが、意味なんて大層なものにはならなくとも、何かにならないだろうかと考えている次第です。
それでは、また明日。
草々
3月23日