いろいろとありましてまた夜明けの蚊
ソファ
見苦しい写真をお見せしますが、昨日の写真の半世紀後ということで…。時間は残酷です。
ところで、今回の「虫の生活」に載せた写真は、大昔の写真を除いてすべて私の撮影です。上の写真も例外ではありません。
この夜、かまちよしろうさんの『犬サブレ』出版記念会から帰宅。「さて、ソファの写真を撮るか」とカメラを用意。妻は近くでテレビを観ていました。「撮ってくれ」というのも気が引ける。結果、左手をめいっぱい伸ばしてシャッターを押しました。自分で撮りながら、笑顔をつくるというのも含め、孤独な作業です。かなりのバカです。情けなかったです。
さて、ソファの話です。
以前、榮猿丸さん、上田信治さん(ともに俳人です)と、ザ・キンクス(ロックバンドです)の話をしたとき、キンクスは「坐って眺めている」ことが重要な鍵だなあ、という話になりました。傍観というと簡単すぎるのですが、移りゆくものを眺めている。
ウォータールーの入り日を眺めている歌(Waterloo Sunset)。通りを行く人たちをホテルの部屋から窓越しに眺めている歌(Sitting In My Hotel)、ひなたぼっこの歌(Sitting In The Midday Sun)…。キンクスは、やたら坐っている。そういえば、Sitting On My Sofaという曲もあります。
「ほら、やっぱり。キンクスは俳句的だよね」という話で盛り上がったのですが、私自身、キンクスを気取るわけでも、自分が俳句的だと言いたいわけでもなく、実際、この世界にソファひとつさえあれば事足りる、じゅうぶんに幸せ、と思えるときがあります。
世界が自分の王国だったのはほんの短いあいだ。気がつくと、たっぷり未来に広がっていたはずの時間が一瞬で過ぎ去り、自分だけの「休みの国」にひとり暮らす中高年に。笑っている、そこの若者! 50年なんて、ほんと、すぐに経ってしまうのですよ。