回送列車全部空席夏の月
ゆっくり走っているからだろうか。
別に乗りたいと思っているわけではないが、回送列車が通るとなんとなく見送ってしまう。あんなに煌々と照り輝く車内に、誰の影も見つけられないことを不思議がる。そうして、僕の五月が終わってゆく。
2011年5月の連載。
回送列車全部空席夏の月
ゆっくり走っているからだろうか。
別に乗りたいと思っているわけではないが、回送列車が通るとなんとなく見送ってしまう。あんなに煌々と照り輝く車内に、誰の影も見つけられないことを不思議がる。そうして、僕の五月が終わってゆく。