(「俳句研究 12月」富士見書房 2003年)より
実家の尾道に帰ってるので古い総合誌でも読み返したいと思います。10年ぐらい経つと総合誌って懐かしい味が出てきて楽しめます。あぁ、懐かしい、わぁ、楽しいって。
今日は2003.12の「俳句研究」です。これは古志に入門前。尾道の今は無き本屋で買ったやつです。ではさっそく読んでいきましょう。
長谷川櫂の俳句が52句掲載。これは後に句集『松島』に入ります。
赤だしに三つ四つ秋の蜆かな
花売の一桶はみな芒かな
他にもいくつかの句の上に赤ペンで丸が書き込まれています。若き日の麒麟が気に入ったんでしょう。
湖の一日晴れて紅葉鮒
のところに、鉛筆で、「春は桜鯛 秋は紅葉鮒」って書き込まれてます。なんだろこれ、どうしたのかな…。
ちなみにこれを読んだ時ってまだ入門してなく、師匠探しをしてた頃です。
好きだった連載は小林恭二さんの「恭二歳時記」でした。この号では三鬼の二回目。いやー、俳句ってかっこいいなと思わせてくれる文章です。
12月号名物「俳人大アンケート」も十年以上前になると、面白い。このアンケート回答者の中には後に会える事になる人がたくさんいらっしゃいますが、もちろん当時の青年麒麟は知らない。この段階では、誰一人生きた、実物の、俳人というのを見た事がありませんでした。当時に戻ったら青年麒麟に言ってあげたい。「結構会えるよ」って。
アンケートの一部を紹介します。
阿部完市さんの注目する俳人は
夏石番矢、五島高資
池田澄子さんの自選1句は
人が人を愛したりして青菜に虫
石田郷子さんの今年のベスト3句の一つが
握りつぶすならその蟬殻を下さい 大木あまり
ここに青年麒麟は赤ペンで線引いてます。なんにもわからないなりに、石田郷子、大木あまりって偉い(良い俳人)って思ってたんですね。
泉田秋硯さんの「俳句界の現状と提言」のアンケート回答がすごい。
大家と言っても多忙過ぎて、俳句に全霊を打込めない人に、余り期待してはいけない。これからの俳句を背負える人に、またそれが期待出来そうな人に多くのチャンスを与えるべきであると考える。
ここに赤ペンで波線が引かれています。気に入ったんでしょう。今読んでも全くその通りだと思います。
今井聖さんの注目俳人は
坪内稔典、片山由美子さんです。
自選一句は
新雪に散乱ランドセルの中身
面白い、大変です。
今井千鶴子さんの句集ベスト1冊は
川崎展宏さんの『冬』です。
大木あまりさんの今年のベスト3句に
我慢して類句の奥に名句あり 筑紫磐井
あはは。我慢が面白い。
小澤實さんの注目俳人は
安井浩司、神野紗希
櫂未知子さんのとこには赤線と、鉛筆で大きく丸がしてます。片山由美子さんとこにも赤線が、真面目だなぁ青年麒麟、丁寧に読んでる。
八田木枯さんの自選1句は
かたち見せ雪がふるふる夕かれひ
なんだかあちこちに書き込みがしてあって恥ずかしいやら懐かしいやら。
総合誌って田舎に居るほど熱心に読むと思います。だって情報のほぼ全てだもの。今はネットが身近なのでそんな事も無いかもしれないけど。
当時の熱だけは時々思い出したいなぁと思います。
じゃ
ばーい