2012年4月28日

峰ごとにやまびこのゐる若葉かな

若葉の頃。山に向かって「ヤッホー」と言うと、まずは比較的近いところから「ヤッホー」と返ってくる。次に、まるでピンポン球の弾んでゆくのにも似てヤッホー、ヤッホー、と遠のきながら同じように声が返る。
 呼ぶほうがひとりなら応える山彦もひとりだが、大勢ならば声の数だけ返してくれる。
 「山彦」だけでもあるいは季語になるかも知れぬ、などと時折思いつつ、今年はまだ呼んでいない山彦である。