虚子といふ素敵な人と出あふ時
赤い新撰 編集日記⑳
4月13日、「俳壇」5月号に、筑紫磐井解説・撰「震災で詠まれた百句」が載る。
激震中ラジオが「明日は暖か」と 関悦史
暖房を消して関氏の揺れ思ふ 御中虫
満開の桜からだのゆれてゐる 太田土男
連翹よ揺れよ明りに加はれよ ふけとしこ
偶然、揺れる人と、揺れる俳句が並んでいる。
御中虫曰く「100句に長谷川氏の句を入れなかったのは、確信犯?(笑)」
21日、東京新聞・中日新聞俳句時評(筑紫磐井担当)で長谷川櫂と御中虫と高濱虚子を比較した記事が載る。
<長谷川に比べて決して上質な俳句ではないが、上質という意味がうまい俳句であるとすれば、この千年に一度の大災害の中で、上質な俳句を詠んでいいのかという厳しい批判が根底に横たわっている。その思想性において、長谷川と互角にわたりあっているのが御中虫であろう。>
一方、関東大震災の時、震災を詠むなと虚子。ろくな俳句が出来るはずがないと言うのである、虚子は立派であった。