2012年5月29日

蘭学に蝶せし美辞や外科内科

赤い新撰 編集日記⑲

4月4日、第9回原稿「~~虫の細道虫栗毛~」到着。これは、このシリーズでの最高傑作である。申し訳ないが、批評でありながら『俳コレ』の作家諸氏の作品など全く忘れてしまうくらい抱腹絶倒の出来である。ここまで奇想天外な構想は思いつかない。続々と出てくる怪物たちは、確かに現に俳壇や俳人協会、現代俳句協会で会った怪物に違いない。ということで、残念ながら俳句については失念。

http://shiika.sakura.ne.jp/haiku/hai-colle/2012-05-04-8466.html

同時に散々苦労した第10回の画像「~~虫コレ」到着。これはまた一転した【MUSHI】コレクション(?)。一見批評もなく、視覚で追うだけの術しかない。今までの御中虫を知る人には賛否両論ありそうだ。

http://shiika.sakura.ne.jp/haiku/hai-colle/2012-05-11-7807.html

御中虫10句選の中より選ぶとすれば

エリックのばかばかばかと桜降る 太田うさぎ

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そろそろ「赤い新撰」の由来を。

1965年、山崎豊子の小説「白い巨塔」がベストセラーになる(続編は1969年完成)。翌66年、大映が主役の外科医財前五郎に田宮二郎を抜擢し映画化して大成功する。その後、大映と問題を起こして映画出演できなくなった田宮は、活動の舞台をテレビに映して、1973年「白い影」(渡辺淳一「無影灯」が原作で外科医が主人公)に始まる白いシリーズ(「白い滑走路」「白い地平線」)で再びスターダムに。この時テレビでは、交互に宇津井健を主人公とした赤いシリーズ(「赤い迷路」「赤い疑惑」「赤い運命」)が始まる。

白いシリーズは、シリーズ最後の「白い巨塔」(映画で出来なかった小説の完全版)の最終回直前の田宮の猟銃自殺により完結。一方赤いシリーズは、当初準主役で出ていた山口百恵の人気が急上昇し、山口は主役となって延々と続く。赤いシリーズにはこんなドラマがあった。「白い新撰」は誰だろう。

ちなみに田宮と宇津井は、1962年~5年まで大映の黒のシリーズ(「黒の試走車」「黒の報告書」「黒の超特急」)で主人公を務めてもいる。