〈戦艦大和(忌日・四月七日)〉と詞書あり。
掲句は、詞書からも分かるように、第二次世界大戦下につくられた「戦艦大和」を詠んだもの。
昭和20年4月7日にアメリカ軍の攻撃を受け沈みゆく「大和」から電報が届いたら、という句である。
黄泉の国と現世の世界の間にある黄泉平坂に菫が咲くという景色は、それだけで幻想的で、
深い海の色と菫の色が響きあい、「大和」や戦死した人々への労わりの思いが感じられる。
具体的に景として思い浮かべずとも、「ヨモツヒラサカスミレサク」という音が楽しく、
単なる社会詠を越えた世界を作り上げている一句。
「特集『春 川崎展宏全句集』を読む」引用句(『ふらんす堂通信 135』ふらんす堂、2013.1)より。
今号では、川崎展宏氏の詩作品も読むことができる。