初めてのをんなと云はる海鞘二個食ひ   結城あき

「初めてのをんな」。何の初めてにせよ、なんだかどきどきする響きである。
振り返って思い出されるのではなく、直接言われるというシチュエーション。
ああ、この女はどんな女なのだろうと読者に思いを巡らせる上五中七のゆったりした文体。
それは桜餅でもソーダ水でも林檎でもおでんでもない、「海鞘二個」食う女であった。
海鞘を二個食べるということが初めて、ではなく、
取り合わせとしての、この「をんな」の描写としての下五と読みたい。
グロテスクながら酒の肴にぴったりの「海鞘」をぺろりと食べるこの女、
愛さずにはいられない。

『澤 10月号』(澤俳句会、2015)より。