る理さんの、この一年スピカで発表された句の中に、「めく」俳句が3句あった。掲句もそのうちのひとつで、あと2句はこちら。
如月や袋畳まれ手裏剣めく 野口る理
君たちと暮らす布団の野原めく
前回前々回と、る理さんの句にみられる、事実か否か疑わしいことに対する言い切りの気持ちよさを指摘したつもりだったが、「めく」はその言葉の性質上言い切られていることもあり、やはり3句とも妙な説得力がある。そのうち掲句を取り上げたのは、最も発想がとんでいて、広がりがあったからだ。他の2句は、納得して終わってしまう感じがある。
さて、掲句。「触角」といわれることで、それが美しい逆立ちでないことが想像される。触角とは本来頭にあるもので、人間の足が触角っぽいなんて、反対でしょとツッコミを入れたくなる。そんなところも、滑稽味があっていい。
まだ寒さは残るものの、春の眩しさがある。もうすぐ動きだす生き物の存在まで思わせる。