「変身」 野口る理 〈『俳句 8月号』より〉

朝顔の紺をゆきかふ白き傷
唇に歯をのせてゐる残暑かな
抱き合ふやうに西瓜を渡しけり
隣人として蜩を正さねば
稲妻や汝が肩甲骨尖らせて
指に残れば秋蝶のかけらとも
アップルパイ貰ふ切る刺す噛む飲み込む
全貌のかたくやはらか虫時雨
変身に光要るなり涼新た
花野ごと束ね祝ふよ詩なくとも

〈『俳句 8月号』(角川文化振興財団、2015)より再掲〉

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