「小諸へ」野口る理

「小諸へ」野口る理

「小諸へ」
(山の斜面に町がある)
坂上り下りグラジオラス真つ赤
(さきさん)
黄のダリア髪結ふためのゴム咥へ
(三泊四日)
不知火の眠れば眠るほど近し
(布引観音は次の機会に)
前髪を持たず観音様涼し
(有馬朗人講演会「虚子と切れ字、虚子の導入した季語・季題」)
古倫母や網戸にもたれてはならぬ
(「そば七」と「丁子庵」へ)
風鈴や長き蕎麦より啜りゆく
(涼しく過ごした)
見下ろしてみづいろ多き避暑地かな