日盛りやイナウ削ってゆくはやさ
アイヌとは人間を意味する。アイヌ民族は、カムイと共に暮らしてきたという。カムイは、日本語でよく神様と訳されるが、動物や植物、火や雷など、人の生活を取り巻く全てのもののことなのである。祈るときや儀式のときに、イナウを使用する。イナウとは、削り花に似たもので、ミズキやヤナギ、キハダの木を使用して作られる。イナウの役割は、イナウ自体がカムイであったり、カムイが喜ぶ贈り物になったり、アイヌとカムイの仲介者としてアイヌの言葉をカムイに正しく伝えてくれたりするのだという。
川や森からもらった獲物は、肉を食べさせてもらうお礼の、木をけずって作った飾り花をつけて、家の東側にある祭壇に置き、魂はカムイたちのムラにかえってくれるようにお祈りをしてから家に入れる。
そうすれば、死んでカムイたちのムラに帰ったイワナやシカの魂は、またおいしい肉の衣を着てこの世にもどってきてくれて、ポイシュマたちはまたその肉をもらえるからだ。 (『月神を統べる森で』より)