2015年11月27日

冬日さす塔の正面はどっち

松山市民会館で「タッキー&翼」のコンサートが繰り広げられている頃、私は「art café@The 3rd」という小さなホールに座っていた。
「なぜ彼らは楽しそうなのか?!地域とアートの仕掛け人によるスペシャル対談」と題された、加藤種男さんと松波雄大さんのトークを聴くために。

加藤さんの名は初めて知ったが、この方がかかわった「アサヒ・アートフェスティバル(AAF)」や「アサヒビール大山崎山荘美術館」なら知っていた。現在企業メセナ協会専務理事と、プロフィールに載っていた。
松波さんは、松山市在住。道後本館改修120周年記念事業である「道後オンセナート2015」の若き統括責任者として活動されているという。

加藤さんの心に残ったお話。
東北大震災の後、被災者を慰めたいとの思いで毎日のようにダンサーやミュージシャンがやって来た。土地の人もまたその思いに応えるように見物に出かけたが、ある日「もういいです。」と告げて、太鼓をひとつ望んだという。
贈られた太鼓に地元の人たちの踊りが始まると、圧倒された慰問者たちがその伝統の踊りを習うために被災地に通い始めたのだそうだ。

ワンドリンク付き参加料500円の小さなカフェで、加藤さんがユーモアを交えながら惜しみなく披露してくれる体験と、もう始まっている瀬戸内をめぐる壮大な計画にわくわくした。
誘ってくれた版画家で句友の松本秀一さんが、加藤さんと大学時代からの友人だとこの場で聞いて、いわゆるびっくりぽんだった。