しやぼん玉肌のぬくみをきらひけり
「お前にはわかるかい、まだ自分の身に生じていることを完全に理解することの出来ないちっちゃな子供が、暗い寒い便所の中でいたいけな拳を固めながら、痙攣に引きむしられたような胸を叩いたり、悪げのない素直な涙を流しながら、『神ちゃま』に助けを祈ったりするんだよ、――え、アリョーシャ、お前はこの不合理な話が、説明できるかい、お前は僕の親友だ、神の聴法者だ、一たいなんの必要があってこんな不合理が創り出されたのか、一つ説明してくれないか!」 ――イヴァン・カラマーゾフ
ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(米川正夫訳・岩波文庫)