2017年12月27日

小皿に注ぎし醤油のかたち年の暮

立川談志はマクラでたくさん小咄を繰り出して、どこで笑うかでその日の客の質をみていた。以前、談志のドキュメンタリー番組の中で、地方のお寺での独演会の場面があった。たしか演目は「富久」だったと記憶しているが、久蔵が富くじの当たりくじを火事で失ってしまったと思い嘆きかなしむ痛切な場面で、談志が迫真の「落語的リアリズム」で演じているところに笑いが起きた。じつは他の場面でもやたらにお客さんの笑い声が多かったのだが、とうとう談志は噺を中断し、「ここそんなに面白いところかね?」と客に真顔で訊いた。しかしここでも笑いが起こってしまい、談志は首を傾げながら噺を続行した。
俳句で大事なものはセンス・オブ・ユーモアだ。