2011年6月28日

馬の腹割れてはらわた下へ墜つ

ギャンブルというと麻雀くらいしかやらない。

パチンコも競馬も「興行主」がいる遊びは、
儲けの構造を考えてしまって、
個人的にはちょっと夢中になれないところがある。
(つまらない男ですみません・・・)

ただし、一度だけ馬券を買ったことがある。

上京して初めての冬、
北大路翼師匠の「有馬記念で大儲けさせてやるよ」の言葉を信じて、
単勝2番人気のコスモバルクに300円を突っ込んだのだった。

新宿の場外馬券場にてレースの行方をじっと見守る。

結果はあっさり惨敗。

たった300円の負けではあるが、
先程までは夢のチケットに思えたものが
一瞬にして紙切れに変わる感覚は新鮮だった。

その年は大晦日から正月にかけての時間も
翼師匠に同行して過ごした。

生まれて初めて、渋谷の「クラブ」という地下の場所に行き、
新年のカウントダウンが始まり、熱狂が頂点に達した群衆の中で、
黒人の硬質なペニス(まさに馬並み)を背後からこすりつけられながら、
東京での初めてのお正月を迎えたのだった。

以下、馬の登場する句をいくつか。

父の日のうしろに馬の匂ひかな     大木あまり
馬の目に雪ふり湾をひたぬらす     佐藤鬼房
生き残るのそりと跳びし馬の舌     鈴木六林男
生き急ぐ馬のどのゆめも馬     摂津幸彦
青い棒を馬がのつそりと飛び越える     渡邊白泉