子に名前つけてよ春を呼ぶやうに 江渡華子

生まれ来る子に名前を授ける。この世に生まれて真っ先に子が受け取る贈り物が、名前というものだろう。名付けられて初めて、赤子は個として世に受け入れられ、大げさに言えば、人生が始まっていくのである。
たった一つの名前を選んでつけるということは、考えてみればとても大変なことだ。あっ、やっぱり違う名前にすれば良かった、というわけにはいかないのだから。
春を呼ぶように、きっと良い名が付けられたことだろう。「春を呼ぶように」には妻からの夫への願いと、子への思いが温かく重ねられている。