目借時、眠たい中で書き進めねばならないのだ。まるで一歩一歩ふみしめるように、原稿用紙ひとますに、一字、一字と、書き込んでゆく。さて、どこでギブアップして、畳に大の字になるか。あともう少しだけ、と粘っているときの気分が、よくわかる。
句集『其中つれづれ』(本阿弥書店・2012年12月)より。昨日、村上護さんの訃報届く。今ふりかえってみると、春の明るさの中で一字一字を埋めてゆく掲句の主体のありように、村上さんの愛にあふれた筆致が自然と思い起こされる。外部の目をもって俳句を見つめる稀有な存在が、また一人失われてしまった。心よりご冥福をお祈りいたします。