踊りつつ別るることを思ひけり  杉原竹女

付き合っている男と踊りながら、この男といつかそう遠くない未来に別れるだろうと思っているのである。別れは、こんな何気ない愛の場面から、すでに始まっているのだ。

「踊り」という季語は盆踊りを指すが、この句は西洋のダンスのイメージがある。高野素十の<づかづかと来て踊子にささやける>などもそうだ。鴎外の「舞姫」のような、鹿鳴館的世界。季語ははじめに定義されたもののみならず、その周辺にある何かかやを、ぶよぶよと吸い取ってゆく、そういう貪欲なものなのだ、きっと。