夏木立このままの肩幅でゐる  あざ蓉子

句集『猿楽』(富士見書房 2000年)より引いた。

  

肩幅は骨格の問題なので、成長期が終わり、大人になってから大きくするのは難しい部分だ。小さいころ、絵を描くときに「女の子の肩幅と、おしりの幅は大体同じくらいになるものなんだよ」と言われたことがある。それが確かなことかは定かではないが、それを忠実に守ったところ、女の子の全体のバランスがぐっとよくなったことを覚えている。つまり、肩幅は描かれるときに、人のバランスを左右する箇所でもある。

 

このままでゐるというのは、あきらめのようにも見えるが、この場合受け入れだろう。自分の幅を知り、その幅が納得のいくものかは別として、自分の幅として受け入れているのだ。この「ゐる」には現在のことだけでなく、過去も未来も通じて存在しているように見える。

 

夏木立という縦と、肩幅という横のベクトルの描き方が美しい句だ。

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