火の魔女として五味子(オミジャ)飲む毛虫踏む  野口る理

タッカンマリで発汗して、火の魔女になったのかと思いきや。五味子茶にも発汗作用がある。それも単なる発汗ではなく、体内の熱を整えるらしく(ああ、らしくだらけ)、体が冷えやすい女性が飲むと、まるで火を操る魔女になった気分であろう。

以前務めていた職場では、緑茶をはじめ、紅茶・ジャスミン茶などいろんな茶が揃っていた。ある日、職場の一人が韓国土産で何種類ものお茶を持ってきた。パッケージに絵が描いてあり、またハングルの横に漢字が書いてあったので、なんとなくなんのお茶か知ることが出来た。ただひとつを除いては。
それが「五味子茶」。酸っぱい。絵柄では柘榴があまっているが、柘榴……じゃない。なんだ、この謎の茶は。とにかく、酸っぱいのと、綺麗な赤色をしていたということだけ、覚えている。

その赤い茶をすすりながら、毛虫を踏む。毛虫は焼くのが一番の駆除方法だ。しかし踏んだのが火の魔女なら、焼く必要もあるまい。

2013.6.1「韓国行き」