海霧や紫色は怖き色  野口る理

海霧は北海道の夏に起こる現象。画像では、オレンジ色のものもあったが、白い霧から透けて見える紫色はこちらに迫るものがある。

小さい頃から、瞼を閉じると、たまにむらさきの光が川のように流れたり、流星のように飛び回ったりしているのが見えた。それを見ると疲れるのだが、どっちみち疲れているときに見るので、問題はなかった。真っ黒な中にある唯一のむらさき。きっと黒をも上回る存在なのだろう。むらさきが飲み込まれないように注意しながら、光を追った。

しかし黒をも上回る存在って、本当はめちゃくちゃ怖いのではないか。だいたい暖色の赤と寒色の青の間に生まれたむらさきはなんなんだろう。考えて、疲れて、またむらさきの光を見る。いつか瞼の裏全部が、海霧のようにむらさき一色に染まらぬことを祈りつつ。

2013.7.1「むらさき」