汐あびや夕日すゞしき店の桃  松瀬青々

汐あびは海水浴。泳いだあとのゆうぐれの涼しさに、店先の桃。ゆうぐれが涼しいのではなく「夕日」という目でとらえられるものが涼しいというところに、泳いだあとの涼やかなまなざしが感じられる。涼しということばで、桃も熟し切った桃ではなく、まだかたさのある張りのある桃だとわかる。浜でさらした肉体の張りも思われたりして。

『松瀬青々全句集別巻 青々歳時記』(茨木和生監修松瀬青々全句集編集委員会編 邑書林 2014年4月)より。