新しき木の香に寝ねて明易し  藤田直子

「新しき木の香」だから新築の家だろう。呼吸する木材たちから放たれる香に、心地よく包まれていると、眠ったか眠らないかのうちに、うっすら夜が明けてきた。「明易し」という季語からは、眠れないという不快よりも、明けてくる新しい部屋の美しさを感じる。「転居」と前書があるが、旅の句と読んでもいいと思った。

第三句集『麗日』(本阿弥書店 2014年5月)より。