桜貝爪をよごして拾ひけり  藤田直子

桜貝という美しく儚いものを手にするためには、代償を支払わなければならない。それは我が指の爪を少し汚すことだった……。世界の真理をのぞかせてくれる句だ。「よごして」と汚さを示す言葉を使っているが、むしろ美しさを強く感じさせる。

第三句集『麗日』(ふらんす堂 2014年5月)より。