森でどんなものにでくわすかと思ったら、なんだ猫か。猫ならいつも見てるよ。そんな脱力感。
猫のほうも「なんだ」って言われちゃったやるせなさが、ほのかに漂う。
「なんだ」と言いたくなる気持ちへの共感とともに、「なんだ」と言われてしまった猫の一抹の切なさがあることによって、なんとなく複雑な、気分が表現されている。
森の猫だって、よくよく考えれば、結構すてきだ。
なんたって、あちこちに夏の光がさしながら、いよいよ緑深くなる、七月の森だもの。
なのに、なんだ、に共感しちゃって、ごめんね。
『春のお辞儀』(ふらんす堂 2014年4月)より。